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二人の初期の代表作としてはSoul Survivors(ソウル・サヴァイヴァーズ)の“Expressway To Your Heart”がある。この曲の出だしのクラクションの音は、オフィスの目の前を通っていた高速道路(Expressway)の渋滞からヒントを得たといわれている。
プロデュースに完璧さを求めた彼らは、信頼できるスタッフを周りにそろえるようになる。まずベースのRonnie Baker(ロニー・ベイカー)、ギターのNorman Harris(ノーマン・ハリス)、ドラムのEarl Young(アール・ヤング)、ヴィブラフォンのVincent Montana Jr.(ヴィンセント・モンタナ・ジュニア)、エンジニアのJoe Tarsia(ジョー・ターシャ)、旧友であるプロデューサー、トム・ベルらが集まり、後に「フィリー・サウンド」を完成させる核のアーティストが揃った。
1968年ターシャはSound Plus(サウンド・プラス)というスタジオを買い取り、新たにSigma Sound Studios(シグマ・サウンド・スタジオ)と名付けた。このスタジオはGamble(ギャンブル)レーベルの本拠地となり、Intruders(イントゥルーダーズ)というスターを生み出した。
1971年にはコロンビアからの資金援助も得て、自分たちの会社Philadelphia International Records(フィラデルフィア・インターナショナル・レコード)を設立、O'Jays(オージェイズ)、Harold Melvin & The Blue Notes(ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ)、Billy Paul(ビリー・ポール)等のアーティストを自社に所属させた。こうして独自のリズム・パターンと壮大なストリングス・アレンジを持つサウンドは、「サウンド・オブ・フィラデルフィア」と称賛されるまでになった。楽曲のほとんどはギャンブル&ハフによるものだが、Gene McFadden(ジーン・マクファーデン)、John Whitehead(ジョン・ホワイトヘッド)、Bunny Sigler(バニー・シグラー)らの優秀なスタッフにも恵まれた。
またシグマスタジオでの録音のほとんどは、ハウスバンドであるMFSB(Mother Father Sister Brother)によって演奏されている。彼らは自分たちの名義でもレコードを出しており、代表曲としてテレビ番組“Soul Train(ソウル・トレイン)”のテーマ曲“TSOP (The Sound of Philadelphia)”がある。
フィラデルフィアをソウルの聖地に変えた歴史に残るプロデューサー・チーム。