ソウル・クラシックスの大辞典を構築中! スマホ対応なので出先でもどうぞ。
フィリーソウルのオールスターを使っているが、サウンドはローラ・ニーロとラベルのヴォーカルワークが中心で(このラベルのサポートが素晴らしい!)、バックの演奏は必要最小限に抑えられている。いわゆる「フィリーソウル」ではなく、多くの曲は女性によるソウルフルなドゥーワップといった様相だ。それでもローラ・ニーロにしか出せない個性は十分に感じる。
全曲素晴らしいが、やはりローラ・ニーロらしい優しい曲に魅かれる。一曲目は女性ヴォーカルグループShirelles(シレルズ)1958年のデビュー曲“I Met Him on a Sunday”のカバー。10年以上前のオリジナルよりも素朴に、そして情感たっぷりに歌い上げている。A2の“The Bells”では、いきなりクライマックスを迎える。この曲はMarvin Gaye(マーヴィン・ゲイ)プロデュースでOriginals(オリジナルズ)が1970年にリリースしたバラードの名曲だが、ニーロ版はバックコーラスとの掛け合いが素晴らしく、彼女が作曲した作品のように聞こえる。そしてラストの“It’s Gonna Take a Miracle”。この曲は、Royalettes(ロイヤレッツ)1965年のヒット曲で、オリジナル版のドラマチックな展開もいいが、ニーロ版では、原曲よりも抑えめでしっとりと聞かせてくれる。
まだ人種差別が激しかった時代に、白人アーティストが、真摯にブラックミュージックと向き合い、旬のアーティストと共演しながらも、流行にも囚われず制作され、純粋に音楽の神様に捧げられたような貴重なアルバム。
Producer: Kenny Gamble, Leon Huff
1971年