ソウル・クラシックスの大辞典を構築中! スマホ対応なので出先でもどうぞ。
Ernie Barnes(アーニー・バーンズ)のカバーイラストが、作品の内容をよく表している。蒸し暑そうな密室のようなところに黒人ばかりが集まりダンスに興じている。彼らは普段、厳しい制約の中で生きているが、この時間だけは自分のために汗をかき、自己を解放し、無になれる。この空間でプレイする音楽として、性を感じさせながらも、美しいポップスとして仕上げられたマーヴィン・ゲイの『アイ・ウォント・ユー』程、ふさわしい音楽はない。「聖」と「性」は表裏一体のものだからだ。アンダーソン・パーク“Come Down”のMVでもこの世界観が表現されていた。アフリカ系米国人の祖先である黒人奴隷の時代から、夜中にひっそりと行われた黒人霊歌の「シャウト」のように、彼らは精神的解放の儀式をずっと行ってきたのだ。
70年代前半から中盤にかけては、スティーヴィー・ワンダーとマーヴィン・ゲイのふたりが、名実ともにソウルの王様として君臨した。そのふたりが、アメリカ建国200周年にあたる1976年に、神がかった時代を卒業して、ブラックミュージックの集大成ともいえる最高級の世俗音楽を発表していることは興味深い。
Producer: Leon Ware
1976年