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とは言ってもリリースはPhiladelphia International Records(フィラデルフィア・インターナショナル)、プロデュースはギャンブル&ハフ、アレンジにはBobby Martin(ボビー・マーティン)とThom Bell(トム・ベル)も参加しており、フィリー・ソウルの要件は十分満たしている。ところが全体的なサウンドは、いわゆる「フィリーソウル」ではなく、もっとジャズに近い。
ニーナ・シモンの影響がもろに出たドープなグルーヴのA1 “East”に始まり、ジャジーに甘くささやくバラードA3 “This Is Your Life”、フィリー版ゴスペル交響曲と呼べそうなA4 “Jesus Boy (You Only Look Like a Man)”、ビートが強調されたソウルジャズのB1 “Magic Carpet Ride”、Eugene MacDaniels(ユージン・マクダニエル)の曲でLes McCann & Eddie Harris(レス・マッキャン&エディ・ハリス)のバージョンが有名なB3 “Compared To What”とめちゃめちゃ幅が広い。“Compared To What”ではスライ&ザ・ファミリーストーンのフレーズまで登場する。
のちのイメージに近い曲は、B2 “I Wish It Were Yesterday”、ギャンブル&ハフ作のB4 “Love Buddies”、B5 “There’s A Small Hotel”の3曲。きっとギャンブル&ハフはこのラインが気に入り、次作のアルバム“360 Degrees of Billy Paul”と名曲“Me And Mrs. Jones”が生まれたのだろう。
実は彼は有名になる前に、ソウルだけではなく、ジャズやR&B、ポップスとあらゆるアーティストとの交流があった。この“Going East”はそんな彼の初期のキャリアの集大成なのかもしれない。
どの曲も素晴らしいが、ビリー・ポールの懐は底知れないほど深いので、先入観を持たずに聞くことをオススメする。
Producer: Gamble & Huff
1971年