Nina Simone / HIGH PRIESTESS OF SOUL
「ソウルの女司祭長(≒巫女)」就任宣言
High Priestess of Soul,
Nina Simone,
1967
ニーナ・シモンの音楽キャリア全てを象徴するような幅広い選曲がなされ、曲が変わるごとに人格も変わるように歌う本アルバム。ポップス、ソウル、ゴスペル、ジャズ、ロックンロール、ブルース、フォークと、何を歌ってもニーナ・シモンになるところが凄い。Oscar Brown, Jr.(オスカー・ブラウンJr.)の『ワーク・ソング』はニーナ・シモンなら想像できなくもないが、チャック・ベリーや、デヴィッド・リンチとのコラボが有名なアンジェロ・バダラメンティの曲まである。またアルバムタイトルの“High Priestess of Soul(ソウルの女司祭長)”は、彼女のニックネームともなった。彼女の場合は「ソウル」といっても、音楽的なカテゴリーよりも言葉の意味通りの「魂」に近い。以降、彼女のライヴはゴスペルよりもずっと緊張感の伴う一種のミサと化し、舞台に立つ彼女は司祭長(感覚的には巫女の方が近いが)のような存在へと変貌していった。(同時に、芸術に対して純粋な彼女は音楽の神に魂を捧げ、自らの精神を生贄としたため精神的に支障をきたすようになった。)
本アルバムからのオススメは、彼女自身の曲“Take Me to the Water”。ニーナ・シモンらしい素朴かつ高潔で、味わい深い曲に仕上がっている。
ラストの“I Love My Baby”は、この時代の夫であるAndy Stroud(アンディ・ストラウド)が彼女のために書いた曲(しかし、徐々にビジネスライクになっていくこの夫にも彼女は悩まされるようになる)。
ニーナ・シモンには名曲が多く、彼女の生き様すべてがアートでもあるので、一作のアルバムで語ることはできないが、まだ彼女のアルバムを聴いたことのない人なら、多様な側面を一枚で知ることができるこのアルバムから始めてみるのがいいかもしれない。
Producer: Hal Mooney
1967年