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セルフ・タイトルの本作はソロ・デビュー作であり、彼女のその後の音楽的方向性を決定づけた。全体的にはフィリー風味だが、以前はダグ・カーンやノーマン・コナーズ、マイケル・ヘンダーソン等の作品に参加していたためかどこかジャズのテイストが含まれ、80年代に通じる大人っぽさを感じる。ディスコ全盛の他のフィラデルフィア・インターナショナルのアーティストは違う個性も発揮している。
例えば一曲目の“Free Love”。リズムは典型的なフィリー・ダンサーだが、彼女のヴォーカルはその上を自由に漂っており、単なるディスコとは一味違う。続く“No Laughing Matter”は、フィラデルフィアのもう一つの顔、美しいバラードだが、いわゆるスウィート・ソウルではなく、時代を先取りした洗練された曲である。作曲とプロデュースを担当したギャンブル&ハフにとっても自らの作風の幅を広げるきっかけになった曲といえるのではないか。
ソロ・デビュー作とはいえ実績十分のジーン・カーンが新たな顔を見せ、彼女自身とフィラデルフィア・インターナショナルの新時代を予感させた作品。
Producer: Kenneth Gamble, Leon Huff, John Whitehead, Gene McFadden, Victor Carstarphen, Dexter Wansel
1976年