Harold Melvin & the Blue Notes / WAKE UP EVERYBODY
70年代ソウルの柔と剛の高純度エキス抽出盤
Wake Up Everybody,
Harold Melvin & the
Blue Notes, 1975
ハロルド・メルヴィン& ザ・ブルー・ノーツにしてはやや強い社会的なメッセージを含むタイトル曲で始まる本作“Wake Up Everybody”。ちょうど時代は「ブラック・パワー」がひと段落し、ディスコのような享楽的な音楽が流行ろうとしていた頃。このアルバムには時代背景全てを写し込むように、とても幅広い構成を取っており、それを絶頂期のハロルド・メルヴィン& ザ・ブルー・ノーツが演じ、円熟期のプロデューサー(
ギャンブル&ハフ)とバック・ミュージシャン(
MSFB)が支え、曲の半分は、ユニット・デビュー前の若々しく勢いのある
McFadden & Whitehead(マクファデン&ホワイトヘッド)が担当している。さらに、このアルバムはTeddy Pendergrass(テディ・ペンダーグラス)にとってソロ・デビュー前の最後の作品でもある。
一曲目の“Wake Up Everybody”は、テディ・ペンダーグラスが歌うとセクシーな歌かと勘違いしそうになるが、彼のもう一つの魅力、人々を鼓舞するような熱い歌声で大切なメッセージを伝えてくれる。歌詞は、まさしく現在を予見しているような内容。「世界は変わってしまった。もう昔とは違うんだ」。「何も行動に移さなければ、世界が良くなることはない」。「政治家よ! 嘘をつくのをやめろ!」といつもの調子とはかなり違うが、サウンドは歌詞に相反するようなメロウなミディアムであり、逆に大人の怒りを感じる。
Thelma Houston(テルマ・ヒューストン)がカバーして大ヒットさせた“Don’t Leave Me This Way”収録。
Producer: Gamble & Huff (Kenneth Gamble, Leon Huff)
1975年