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今回の作品の根底に流れ続けているのはアフリカにルーツを持つ「ジャズ」。フィリップ・ベイリーとジャズとは意外な気もするが、彼はソロの時代もアルバム収録曲でフュージョン系の曲をよく取り上げており、バック・ミュージシャンの選択もジャズ系の人が比較的多かった。
本作でも年齢の近いチック・コリア(Key)やスティーヴ・ガッド(Dr)等だけではなく、現在最も脂の乗っているロバート・グラスパー(Key)、リオーネル・ルエケ(G)、カマシ・ワシントン(Sax)、ケンドリック・スコット(Dr)、クリスチャン・スコット(Trp)等も参加している。さらにはブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アム(Dr)やビラル(Vo)のようなポップなスターまで参加しており非常に華やか。
収録曲は参加ミュージシャンのアイデアと取り入れたオリジナル曲と、カーティス・メイフィールド、トーキング・ヘッズ(!!)、マーヴィン・ゲイ、ファラオ・サンダース等、これまた多彩。
これほど盛り沢山だと収拾がつかなくなりそうだが、そこは荒波をいくつも乗り越えてきたフィリップ・ベイリー。決して派手さ一辺倒にはせず、アフロ・テイストなジャズに80年代のブラック・コンテンポラリーの味付けも加え、オートクチュールのような手作りの豪華さを出した。音楽の質の高さと親しみやすさをここまで融合させる技は、若手ミュージシャンにはないかもしれない。
よって本作『ラヴ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ』は、アース・ウィンド・アンド・ファイアのファン、彼のソロ作のファン、そして現代最先端ジャズのファン、誰もが納得できる一枚に違いない。
Producer: Philip Baily, Trinity Baily
2019年