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ソウル&ファンク大辞典

ヒップホップを経験した時代からみた、永遠に完成しないソウル&ファンクの大辞典。

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Talking Heads / REMAIN IN LIGHT

大都市のノイズを有機的に変換したエスノファンク

トーキングヘッズ Remain In Light,
Talking Heads,
1980
前作“Fear of Music”でもBrian Eno(ブライアン・イーノ)と組み、まだパンクの影響も強かった時代にいち早く“I Zimbra”のようなアフロを演っていたトーキング・ヘッズ。この歴史に残る名作『リメイン・イン・ライト』では、完全にアフロファンク一本に絞り、それまでのニューウェイブ色を一掃している。

この作品が画期的なのは、トーキング・ヘッズのようなメジャーな存在ではありえない、ポリリズムを全面的に採用したことだ。短いフレーズを重層的に延々と繰り返す手法は、完全にFela Kuti(フェラ・クティ)のようなアフリカのミュージシャンからの引用であり、ジェームス・ブラウンとは全く違うタイプのファンクを、非アフリカ系の彼らが作り上げた。また、アフリカ系のミュージシャンが生の演奏でうねりを生み出すのに対して、トーキング・ヘッズはエンジニアリング・ワークで未知のグルーヴを生み出した。音源をズタズタに切り刻んで、グルーヴを生み出す手法は、ヒップホップにも影響を与えている。(ただし彼らの場合、映画『ストップ・メイキング・センス』で証明しているように、アート・スクール出身だけに芸術的手法も取り込みロックバンドのカテゴリーでは収まらないぐらいライヴパフォーマンスも見応え十分で超一級!)

これほど実験的な作品なのにこのアルバムは、フェラ・クティやジェームス・ブラウンよりもセールス的に成功している点もすごい。

間違いなくトーキング・ヘッズにとっての最高傑作であり、ロック史においてもひとつの頂点を極めた。サブカルチャーとしての音楽が民族や国境を超えて、新たな局面を迎えるきっかけになった作品。

Producer: Brian Eno
1980年




Born Under Punches - Talking Heads
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