Brian Eno-David Byrne / MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS
原始とデジタルをボーダレスに体感させた功績は大
My Life in the Bush of
Ghosts, Brian Eno-
David Byrne,
1981
トーキング・ヘッズの大傑作『リメイン・イン・ライト』とほぼ同時期に制作され、双子の作品ともいえるブライアン・イーノとデヴィッド・バーンの“My Life in the Bush of Ghosts”。前者はイーノがプロデューサーとして関わり、あくまでトーキング・ヘッズというバンドの作品だったので、(サウンドコラージュを駆使する方法は共通しているとはいえ)生のグルーヴを表に出した作品であったのに対して、こちらはプリミティブなリズムを精神的に捉えた作品になっている。ロキシー・ミュージック時代からブライアン・イーノは演奏することに全く関心のない稀有な音楽家である。例えて言うなら、トーキング・ヘッズの肉体をハックして表現したのが“Remain in Light”であり、デヴィッド・バーンと脳神経を直結して描いたのが、この“My Life in the Bush of Ghosts”ともいえる。昔も今もブライアン・イーノは音楽を、あくまでも表現手段のひとつとして考える芸術家なのだ。
サンプリングを多用してグルーヴを生み出している点だけでも、ヒップホップの先駆けともいえるが、その音源にBill Laswell(ビル・ラズウェル)のベースやDavid Van Thieghem(デヴィッド・ヴァン・ティーゲム)の打楽器等の有機的な音をすでに載せている点は、ヒップホップの何年も先の姿が、すでに見えていたようにも感じる。
ひょろひょろな白人二人が、トリックスターの役割を果たし、骨太なファンクの世界を、新たな次元に引き上げたことは意義深い。
“Remain in Light”と“My Life in the Bush of Ghosts”、そしてもう一枚、同時期に制作されたTom Tom Club(トム・トム・クラブ)のデビューアルバムを併せて聞くと、この人たちの先見性と、それぞれの音楽的スタンスが理解できて面白い。
Producer: Brian Eno, David Byrne
1981年