ヒップホップを経験した時代からみた、永遠に完成しないソウル&ファンクの大辞典。
圧巻はミニマルすぎてアヴァンギャルドにも聞こえるA3 “Since You’ve Been Gone”。Bootsy Collins(ブーツィー・コリンズ)とCatfish Collins(キャットフィッシュ・コリンズ)兄弟によるベースとギターに、Clyde Stubblefield(クライド・スタブルフィールド)のドラムとJohnny Griggs(ジョニー・グリッグス)のパーカッション、そしてジェームス・ブラウンとBobby Byrd(ボビー・バード)の掛け合いは誰にも真似のできない究極のファンク。
アメリカ音楽界のトップに立ちながらも、ファンクの基本となる呪術性を忘れていないこの時期のジェームス・ブラウンは、やはり神(あるいは悪魔)としかいいようがない。
選曲は“In the Jungle Groove”でもファンを唸らせたCliff White(クリフ・ホワイト)。両盤は甲乙つけがたく、それほどジェームス・ブラウンの音源は尽きることがない。この両盤にはジェームス・ブラウンの思想等に配慮することはなく、純粋に音のみにフォーカスしているため、それだけファンク的呪術性は高いといえる。