ソウル・クラシックスの大辞典を構築中! スマホ対応なので出先でもどうぞ。
比較的抑え気味な演奏で、熱狂のライヴというわけではないが、このアルバムには、ライヴの理想型が存在する。
ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにあるThe Bitter Endという230人しか収容できない場所でレコーディングされ、観客の反応までよく聞こえてくる。ちなみにDonny Hathaway(ダニー・ハサウェイ)の名作“Live”の一部も、ここで録音されている。
この小さな空間が功を奏して、このアルバムを聞いていると、まるで自分も現場にいるような感覚を楽しめる。ハウリングもリアルに残されており、メンバー一人ひとりが奏でる音をすべて捉えることができる。
メンバーはカーティス以外に、ギター、ベース、パーカッション、ドラムの5人編成で、ホーンセクションは入っておらず、ソウルというよりはジャズに近い。シンプルな編成の上に、音数も非常に少ない。曲は前作“Curtis”収録曲以外にも、インプレッションズの名曲が多く含まれている。それでも古さは全く感じず、むしろこのまま現代に再現しても十分通用するような普遍的なサウンドだ。
こんなにシンプルで、派手さもなく、抑えめな演奏なのに、不思議なことに、メローというよりは、カーティス全盛期のグルーヴの方がひしひしと伝わってくる。あまり意味はないが、カテゴライズするならやはりファンクに属するサウンドだと思う。
1971年の時点でこんな完成度の高いライヴができるなんて、天才カーティス・メイフィールド以外にあり得ない。
Producer: Curtis Mayfield
1971年