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70年代のハードなファンクサウンドにアンバランスとも思えるカーティスのか細い声に最初は魅了されたが、70年代の彼を体験してから60年代のインプレッションズを聞くと、また違った印象で彼らの奥深さを実感できる。
この“This Is My Country”は、インプレッションズがカーティスのレーベルCurtom(カートム)に移ってリリースされた第一弾であり、丁度、彼がインプレッションズからソロに軸足を移そうとしている時期にあたる。カーティスはこの頃から、社会性の強い作品を残すようになり、本作でもA1“They Don’t Know”等にその空気を感じることができるが、全体的にはカートム以前のインプレッションズのサウンドを継承している。その辺がコアなファンには、中途半端に映るようだが、この中途半端具合が絶妙に気持ちいいのだ。
新しい時代の夜明けを感じるA1やB4“Fools for You”はもちろん素晴らしいが、古いインプレッションズの面影を感じる曲も味わい深い。A3“I’m Loving Nothing”やB2“So Unusual”、B3“My Woman’s Love”は、一聴したところ、50年代R&Bバラードの焼き直しのようにも思えるが、ややルーズなサウンドと細かいアレンジのブレンドは、むしろ70年代を予見させるものだ。つまり、インプレッションズという完成したパッケージの印象を崩さずに、羽化する寸前の蛹のような音が、この作品にはたくさん隠されている。
Producer: Curtis Mayfield
1968年