ソウル・クラシックスの大辞典を構築中! スマホ対応なので出先でもどうぞ。
例えば一曲目のタイトル曲にしても、当時としてはかなり斬新なアレンジではあるものの、基本のメロディ自体はサム・クックが歌ってもいい曲になりそうなタイプ。2曲目の“Choice of Color”は人種問題に踏み込んでおり、社会情勢を反映した内容だが、ブラック・ミュージックの王道コーラス・パターンを踏み外さない。3曲目“The Girl I Find”は、カーティスがこれまでに築いたヴォーカル・テクニックを満載する。その後もこの手の曲はカーティスの定番として使われていく。60年代ソウル王道の盛り上がりを見せる“My Deceiving Heart”は、アレンジャーとして参加しているダニー・ハサウェイの香りも感じる。何でもないようにサラリと歌う“Soulful Love”にもインプレッションズらしさがふんだんに盛り込まれている。そしてラストの“Mighty Mighty (Spade & Whitey)”。これもメッセージ性の強い曲だが、60年代ソウルパーティーの締めにふさわしい、70年代に向かうためのポジティヴな曲。
エッジーなカーティス・メイフィールドはここにはいないが、とてもソウル愛に満ちて、とてもつもなく高品質な曲の数々が記録されている。カーティスは時々そういう作品を残すが、それがまたとんでもなく素晴らしいのだ!
この作品から60年代ソウルの深みにハマっていくか、それとも70年代に向かう基礎知識として楽しむか、または変革中のカーティス・メイフィールドを楽しむか、様々な楽しみ方ができるソウルの種がたくさん詰まった作品。
Producer: Curtis Mayfield
1969年