Sam Cooke / NIGHT BEAT
ソウルの神のささやきを耳にするために訪れる聖地のような作品
Night Beat,
Sam Cooke, 1963
“Live at the Harlem Square Club, 1963”がサム・クックの熱さを表現した作品だとしたら、この“Night Beat”は、クールさを最も表した作品だ。しかし、クールといっても(当たり前だが)彼の歌声は非常にあたたかい。バンド編成が非常にスリムであり、派手なアレンジを排除している点でクールなのだ。ストリングスがなく、バックの演奏が非常にシンプルで、サム・クックのヴォーカルの機微がダイレクトに耳に飛び込んでくる。“Lost and Lookin”なんて、ほとんど彼の歌だけで構成されており、まさしく彼の歌を味わうためのアルバム作りがされている。
曲はブルースが多く、オルガンで参加しているBilly Preston(ビリー・プレストン:録音時にはまだ16歳!)が、抑え目ながらゴスペル感溢れるフレーズ連発で、ベテランミュージシャンのような味を出している。
音的には、俗に言う「ソウル・ミュージック」とは少し違うが、まさしくソウルの創造神誕生を告げる作品のひとつであり、全ソウルファンが一生のうち一度は訪れる聖地のような一枚。
Producer: Hugo & Luigi
1963年