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その後ゴーマンは、作曲ではなく、バックヴォーカルグループを結成する。彼らの名前が表に出ることは少ないが、ジミー・ラフィンの“What Becomes of the Brokenhearted”、デヴィッド・ラフィン“My Whole World Ended (The Moment You Left Me)”、スティービー・ワンダー“Yester-Me, Yester-You, Yesterday”、マーヴィン・ゲイ“Chain”、エドウィン・スター“War”等、モータウンの歴史を飾る数々の名曲を陰で支えた。
そんな彼らがオリジナルズとして、ようやくスポットライトを受けることになったのが本アルバム“Green Grow the Lilacs”の成功だった。マーヴィン・ゲイがプロデュースと曲を提供した“Baby, I’m for Real”がヒット、「ビルボード・トップ・ブラック・シングルズ」チャートで1位を獲得した。このヒットを受けてアルバム・タイトルも後日“Baby, I’m for Real”に変更される。ちなみにこの曲は、マーヴィン・ゲイの当時の妻であり、モータウン創業者Berry Gordy(ベリー・ゴーディ)の姉でもあるAnna Gordy Gaye(アンナ・ゴーディ・ゲイ)との共作。
すでにプロとして十分な経験を積んでいたオリジナルズの面々だが、この作品では、技術を見せることよりも、デビューアルバムらしい初々しく繊細な曲が多く収録されている。A1 “We’ve Got a Way Out of Love”はマーヴィン・ゲイを彷彿とさせるファルセットが心を揺さぶる。元々のタイトル曲A2“Green Grow the Lilacs”は、ソフトロックのように優しい。B2 “Why When Love Is Gone”は、モータウンらしい爽やかなダンサー(このアルバムのリリースはSOULから)。ラストを飾るB6“You, Mysterious You”は、70年代ソウルを予感させる。
1969年