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ソウル&ファンク大辞典

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Jimmy Ruffin

大スターへのチケットをつかみ損なったことを芸の肥やしにして成長したモータウンのシンガー

ジミー・ラフィン What Becomes of the
Brokenhearted,
Jimmy Ruffin, 1966
まだあまりソウルのレコードを聞いていなかった頃、何も知らずにたまたま買った中古のシングルレコードの中にあったジミー・ラフィンの“What Becomes of the Brokenhearted(1966年)”を聞いて、その切ないメロディーにいたく感動した記憶がある。あれから長い年月が過ぎたが、今でもその気持ちは変わらない。モータウン関連作品のなかでも、屈指の名曲だと思う。

ジミー・ラフィンは、1961年にモータウンと契約を結び、傘下のMiracle(ミラクル)からデビューしている。その後、兵役に就いているが、1964年に軍から戻ってきた時、大チャンスが訪れた。当時売り出し中のTemptations(テンプテーションズ)に加入しないかと誘われたのだ。しかし、運命は残酷だった。たまたまジミーの弟であるDavid Ruffin(デヴィッド・ラフィン)の歌声を聞いた会社幹部は、そのままデヴィッドをテンプテーションズに加入させることを決め、ジミーはメンバーになれなかった。翌年にはデヴィッドがリードヴォーカルをとった“My Girl”が全米チャート1位の大ヒットとなり、テンプテーションズは大スターの仲間入りを果たした。

テンプテーションズの「マイ・ガール」発表の翌年、ジミーにも再びチャンスが巡ってきた。それが冒頭の“What Becomes of the Brokenhearted”の大ヒットだった。この曲は元々Spinner(スピナーズ)のために用意されていたが、ジミー・ラフィンが気に入り、作詞を担当したJames Dean(ジェイムズ・ディーン)に頼み込み、ジミーの曲としてリリースすることができた。

この曲はいわゆるモータウン黄金期に録音されており、素晴らしいメンバーがバックを支えている。まず、何といってもFunk Brothers(ファンク・ブラザーズ)のタイトなサウンド。他のヒット曲とは違い、抑えめな演奏で絶妙なメロディーを活かすことに徹している。コーラスも豪華だ。この時期のモータウンの名曲を影で支えたOriginals(オリジナルズ)とAndantes(アンダンテス)の混成チームが最高のコーラスワークを見せている。

“What Becomes…”以外にも、Norman Whitfield(ノーマン・ホィットフィールド)プロデュースの“How Can I Say I’m Sorry(1965年)”や、“I’ll Say Forever My Love(1967年)”、“Farewell Is a Lonely Sound(1969年)”をはじめ、彼にはいい曲がたくさんあるが、残念ながら、これぞというアルバムを残していないことが唯一惜しい。弟のデヴィッドと共演した“The Ruffin Brothers”はかなりいいが、ジミー・ラフィンの個性があまり出ていない。買うなら上記の曲が入ったベスト盤をオススメする。



What Becomes of the Brokenhearted - Jimmy Ruffin
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