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Temptations(テンプテーションズ)にとっての2大ヒット曲が収録されている“Gettin’ Ready”。最も有名なのはスモーキー・ロビンソンが手がけた“Get Ready”だろう。もう一曲はノーマン・ホィットフィールドの“Ain’t Too Proud to Beg”。ともにR&Bチャート1位のパワフルな曲だが、この2曲がその後のテンプテーションズの運命を変えてしまう。
元々テンプテーションズは、スモーキー・ロビンソンがすべてのクリエイティブの決定権を握っており、“My Girl”をはじめとする数々のヒット曲を生み出してきたのは、彼の功績だ。このアルバムから最初にリリースされたシングルも“Get Ready”だった。
“Ain’t Too…”の出来に絶対の自信を持っていたホィットフィールドは、その決定に不満で、もし“Get Ready”がポップチャートで20位以内にランクインしなかったら、“Ain’t Too…”を次のシングルにする約束を会社に迫った。
“Get Ready”がリリースされると、一躍R&Bチャート1位の大ヒットになったものの、ポップチャートでは29位に終わった。ホィットフィールドにチャンスが巡ってきた。“Ain’t Too…”もR&Bチャートで1位になり、ポップチャートでは「ゲット・レディ」を上回る13位にまで上昇した。“Ain’t Too Proud to Beg”は、1974年にローリングストーンズにカバーされ、今ではストーンズのバージョンの方が有名かもしれない。
ヒット至上主義のMotown Records(モータウン)では、最大のヒット曲を持つプロデューサーが、そのグループのクリエイティブを取り仕切る掟があった。そのため“Gettin’ Ready”の成功によって、メイン・プロデューサーの座には、当時はまだ若手のノーマン・ホィットフィールドが就くことになった。
この作品以降、彼の影響により、典型的なモータウン・サウンドだったテンプテーションズが「サイケデリック・ソウル」という新たなジャンルを切り開くことになる。ノーマン・ホィットフィールド自身も、独自のファンク・サウンドを開拓し、60年代後期から70年代を代表するスーパープロデューサーになった。
Producer: William “Smokey” Robinson, Norman Whitfield, Robert Staunton & Robert Walker, William “Mickey” Stevenson & Ivy Jo Hunter
1966年