ソウル・クラシックスの大辞典を構築中! スマホ対応なので出先でもどうぞ。
影響を受けたアーティストとしてFunkadelic(ファンカデリック)やJohn Cage(ジョン・ケージ)、Nico(ニコ)、Lee Perry(リー・ペリー)、Stooges(ストゥージズ)と、ジャズ界からもJohn Coltrane(ジョン・コルトレーン)、Miles Davis(マイルス・デイビス)、Sun Ra(サン・ラ)、Ornette Coleman(オーネット・コールマン)等をあげているが、まさしく彼らの音はこれら全てをザッピングしたようなサウンド。パンクがロックを破壊したように、彼らはジャンルや人種を問わず、すべての音楽を吸収・破壊・再構築し、それを大衆に向けたポップ・ソングとして提案したのだ。
この作品の完成度を高めているのがプロデューサーのDennis Bovell(デニス・ボーヴェル)だ。レゲエバンドMatumbi(マトゥンビ)のリーダーでもあるボーヴェルは、この直前に世界初といわれているダブ・ポエトリーの作品“Dread Beat an’ Blood”をPoet and the Roots(ポエット&ザ・ルーツ)としてLinton Kwesi Johnson(リントン・クウェシ・ジョンソン)とともに制作している。もしかしたら、ボーヴェルの頭の中には、ポップ・グループの“Y”も、Mark Stewart(マーク・スチュワート)の詩をダブ・ポエトリーに置き換えて考えていたのかもしれない。セカンドアルバムの“For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?”では、詩人で元祖ラッパーのLast Poets(ラスト・ポエッツ)が参加しているので、詩にはかなりのこだわりがあったようだ。
たまにポップ・グループのことをパンクの残党による「時代のあだ花」のように書いた記事を見ることがあるが、彼らの神髄は、テクニックではなく、ファンクネスにあるので、頭で音楽を考える人や、技術中心に音楽を考える人にとっては、聞く価値がないかもしれない。
ポップ・グループというバンド名だが、決してポップス的な「ポップ」ではないので、取り扱いにはご注意を。
Producer: Dennis Bovell
1979年