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師匠にあたるエディ・ハリスも相当変わっているが、メルヴィン・ジャクソンも全く負けていない。むしろこのアルバムを残している分、変態レコーディング・アーティストとしては上回っているかもしれない。
アルバムの根底を流れるのは、ファンキーなソウルジャズ。しかし、タイトルに「スカル」が付いているように、曲によってはおどろおどろしかったり、スピリチュアルだったり、サイケデリックだったり、スペーシーだったりする。それなのに、シリアスさはなく底抜けな明るさを感じさせる。決してスーパースターではないメルヴィン・ジャクソンにとって、ソウルジャズだけでは勝負できないと感じ、考えに考え抜いた世界がこの『ファンキー・スカル』だったのだろう。このアルバムはパーティーでかけて盛り上がれるキワモノジャズなのだ。
サウンドをボトムで支える役目のベーシストである彼は、このアルバムに関しては全く支える気がない。ベースにエフェクターをかけまくって、時代物のシンセのような変な音で前面に出て目立ちまくっている。こんな変な作風なら、ろくなミュージシャンが参加していないだろうと思うかもしれないが、これが意外なほど魅力的な面々が協力している。まずトランペットにLester Bowie(レスター・ボウイ)、サックスはRoscoe Mitchell(ロスコー・ミッチェル)。時々アート・アンサンブル・オブ・シカゴのようになるのは、彼らの影響かもしれない。ドラムにはオーティス・レディングからファラオ・サンダースまでこなすBilly Hart(ビリー・ハート)。ベースとギターにはオールマイティなPhil Upchurch(フィル・アップチャーチ)と完璧な布陣。
奇天烈なソウル・ジャズだが、最初から最後までフルに楽しめる超オススメの一枚。
Producer: Robin McBride
1969年