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天才の名をほしいままにしていたマルコス・ヴァーリの才能に文句をつける人などいないだろうが、このアルバムではバックを務めるAzymuth(アジムス)の貢献も大きい。彼らはこの作品の後、世界的評価を受けることになる。特にJose Roberto Bertrami(ジョゼ・ホベルト・ベルトラミ)の時代を感じるシンセサイザーが狂っていていい。
再評価のきっかけは、このアルバムのソウル的な部分やメロウな側面だろう。A4 “Mentira”のリズムの刻み方は明らかに70年代ファンクの影響を受けており、続くタイトル曲はソウルやジャズの影響とともに、凡庸さと狂気を同時に感じる絶妙のブレンド感。メロウの極地A6 “Mais Do Que Valsa”にはただただトロける。
アメリカではマーヴィン・ゲイやスティービー・ワンダー、ジャマイカからはボブ・マーリー、アフリカからはフェラ・クティ等、サブカルチャーの一種である世俗音楽は、1970年代前半に一気に芸術性を増し、形骸化しつつあったハイカルチャーを凌駕するようになった。そしてブラジルを代表するひとりがこのマルコス・ヴァーリといえるだろう。
ボサノバ、サンバ、ジャズ、ロック、ポップスとマルコス・ヴァーリの音楽キャリア全てを織り込んだ集大成のような作品。
Producer: Milton Miranda
1973年