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ソウル&ファンク大辞典

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Marcos Valle / PREVISÃO DO TEMPO

ブラジルの天才が70年代に残した音楽の宝箱

マルコスヴァーリ Previsão Do Tempo,
Marcos Valle, 1973
ブラジル音楽は果てしないほど間口が広いので、ボッーと聞いていると最初は単なる軽快なラテン・ポップスのようにも聞こえるが、少し耳を澄ますと徐々にいろんな要素がじわっーと複雑に絡みだし、いつの間にかマルコス・ヴァーリの深遠な世界に引き込まれる一枚。

天才の名をほしいままにしていたマルコス・ヴァーリの才能に文句をつける人などいないだろうが、このアルバムではバックを務めるAzymuth(アジムス)の貢献も大きい。彼らはこの作品の後、世界的評価を受けることになる。特にJose Roberto Bertrami(ジョゼ・ホベルト・ベルトラミ)の時代を感じるシンセサイザーが狂っていていい。

再評価のきっかけは、このアルバムのソウル的な部分やメロウな側面だろう。A4 “Mentira”のリズムの刻み方は明らかに70年代ファンクの影響を受けており、続くタイトル曲はソウルやジャズの影響とともに、凡庸さと狂気を同時に感じる絶妙のブレンド感。メロウの極地A6 “Mais Do Que Valsa”にはただただトロける。

アメリカではマーヴィン・ゲイやスティービー・ワンダー、ジャマイカからはボブ・マーリー、アフリカからはフェラ・クティ等、サブカルチャーの一種である世俗音楽は、1970年代前半に一気に芸術性を増し、形骸化しつつあったハイカルチャーを凌駕するようになった。そしてブラジルを代表するひとりがこのマルコス・ヴァーリといえるだろう。

ボサノバ、サンバ、ジャズ、ロック、ポップスとマルコス・ヴァーリの音楽キャリア全てを織り込んだ集大成のような作品。

Producer: Milton Miranda
1973年



Mentira - Marcos Valle
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