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ソウル&ファンク大辞典

ヒップホップを経験した時代からみた、永遠に完成しないソウル&ファンクの大辞典。

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Trouble Funk

80年代肉体系ファンクの正統継承者

トラブルファンク Say What!,
Trouble Funk,
1986
ヒップホップがニューヨークから世界へと盛り上がりを拡大させていた時期に、地域限定ながら70年代後半から80年代にかけて異常な盛り上がりを見せたGo-go(ゴーゴー)。ワシントンDC発のこのダンスミュージックは、ほぼすべてのバンドが、ライブ中心に活動しており、一曲一曲が長く、音源といってもほとんどがかなりの編集を施した12インチが中心だった。そのためパッケージ化が難しく、音楽ビジネスの市場に乗る機会が少なく、ライヴを体感できないワシントンDC以外の場所にはなかなか広まることができなかった。

それでもディスコによって一度死滅しかけたジェームス・ブラウン以降のファンクのスピリッツを、80年代に向けて最も純粋に受け継いでいったのは、Pファンクやヒップホップと並び、このワシントン・ゴーゴーのミュージシャンたちだろう。彼らは時代がデジタル中心に流れる中、生の演奏でファンクの魂を受け継いでおり、その本質に最も近い存在だった。なかでも人気が高かったのが、このTrouble Funk(トラブル・ファンク)だ。

強烈なリズムセクションにホーンが絡み、コール&レスポンスで朝まで延々と続く彼らのライブは、完全に当時のブラック・ミュージックの流れとは逆行していた。トラブル・ファンクの反復するリズムは、むしろ一晩中陶酔しながら続けられた黒人霊歌のシャウトや、Fela Kuti(フェラ・クティ)さらにはもっとその源流のアフリカ民族音楽のスタイルにも近く、米国の首都から発信された音楽なのに、無意識のうちに最もアフリカ的要素を取り込み、原点回帰を図っていたバンドのひとつといえるだろう。

とは言っても、シャウトのような宗教音楽ではなく、基本はパーティー・ミュージックなので、“Pump Me Up”や“Say What?”等、ポップな曲も多い。Beastie Boys(ビースティ・ボーイズ)はトラブル・ファンクの曲をサンプリングに多用しており、その他にも数えきれないほど多くのアーティストに直接・間接的に影響を与えている。




Pump Me Up - Trouble Funk
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