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ソウル&ファンク大辞典

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Larry Willis / INNER CRISIS

ファンクに知性を注入したキーボーディスト

ラリー・ウィリス Inner Crisis,
Larry Willis, 1974
70年代中盤のジャズは、原始的・精神的等あらゆる要素を取り込みながら、中期からはよりメロウな方向に流れていったが、ラリー・ウィリスの『インナー・クライシス』は、エレクトリックな楽器を用い、時代に寄り添いながらも、50年代から60年代を築いた先達への敬意を忘れず、ジャズの王道から大きく外れてはいない。

ニューヨークに生まれ、大学も地元のマンハッタン音楽学校で理論を学んだラリー・ウィリスは、元々、クラシックやオペラの作曲に進みたかったようだが、時代的にアフリカ系米国人の彼にとって、その道で生きることは難しかった。しかし、当時の拓かれたジャズ界は何でも受け入れてくれた。

A1 “Out on the Coast”は、このアルバムでは一番ハードボイルドなジャズファンクで、同時期のマイルス・デイビスやハービー・ハンコック等と共通したダンスフロア向きの曲。特徴的なのは、ベースをエレキとウッドの2本を使っている点。これが功を奏して、むしろ現代的にも聞こえる。A2 “153rd Street Theme”は、ジャズ・クルセイダーズっぽいソウル・ジャズ的な心地良さ。A3のタイトル曲は、 “Out on the Coast”をより70年代的に洗練させたジャズ・ファンクで、ラリー・ウィリスのキーボードを堪能できる。

B面はカリブのリズムを取り入れたB1 “Bahamian Street Dance”、50年代と70年代スピリチュアルな世界を行き来するB2 “For a Friend”、そして映像が浮かぶようなラストの“Journey’s End”と非常に幅広い。

Producer: Sonny Lester
1974年



Out on the Coast - Larry Willis
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