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1曲目はジャズ・クルセイダーズ流のスライ&ザ・ファミリー・ストーン“Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)”のカバー。この曲を聴いただけで彼らの嗜好がどこに向いていたのかがわかるが、スライとの決定的な違いは、「怒り」がないこと。これは別に悪いことではなく、彼らは純粋にファンクを音楽的に愛し、自分たちの音楽に取り込もうとしていただけだろう。
取り込もうとしたのはファンクだけではなく、ビートルズの『ゴールデン・スランバーズ』や、トニー・ジョー・ホワイトの『レイニー・ナイト・イン・ジョージア』のカバー等、幅広い。60年代後期になり、ジャズが失いかけていたものを取り戻そうとしていたのは明らか。
カバー曲はどれも過去のスタンダードではなく、この時代に流行っていたものばかり。ということは改名しようとしていたことからも、ベクトルは違うが、マイルス・デイビスがトレンドを取り入れジャズを新たな次元に導こうとしていたように、ジャズ・クルセイダーズも違う側面からジャズを変革しようとしていたに違いない。事実、新生クルセイダーズが歩んだ道がそのまま70年代ジャズ(フュージョン)の王道となった。
ジャズ特有の気取りがなく、ヒップホップとも相性が良さそうなレイドバック感が心地いいサウンドが詰まっている。
Producer: The Crusaders
1970年