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その彼が満を持して発表したのがセルフタイトル作『アルトゥール・ヴェロカイ』。彼自身によると「サンバを基本にソウルの要素を加えた」と語っているが、実際のサウンドはもっと幅広く、ストリングスやホーンセクションを導入したゴージャスなブラジリアン・ジャズをベースに、時にはフォーキーに、時にはファンキーに、創造力に任せた自由な音作り。
しかし、当時のブラジルは軍事政権下にあり、自由な表現は嫌われる傾向にあった。そのためこの作品も表舞台で評価されることはなく、その後30年に渡りアーティスト活動は停止し、再び裏方の仕事に戻ることになる。
政治が障害となりソロアーティストとしての最も大切な期間に活動することはできなかったが、この一枚の作品だけでも彼の才能は十分すぎるほど伝わる。それを証明するように、21世紀に入ると音楽マニアの間で再評価され、オリジナルのアナログ版が恐ろしいほどの価格で取引されるようになった。
マイケル・ジャクソンやアース・ウインド&ファイアーの作品でもおなじみのPaulinho Da Costa(パウリーニョ・ダ・コスタ)も参加。
Producer: Arthur Verocai
1972年