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曲は『オフ・ザ・ウォール』と同じく、主にマイケル・ジャクソン、クインシー・ジョーンズ、ロッド・テンパートンが担当しているが、前作との大きな違いは、ブラック・ミュージックへのこだわりを捨てたことだろう。象徴的なのは『ビート・イット』に起用したスーパーギタリスト、エディ・ヴァン・ヘイレンのプレイだ。マイケルの新たな面を示した『ヒューマン・ネイチャー』もロック・バンドTOTOのキーボード、スティーヴ・ポーカロの作品。『ガール・イズ・マイン』ではポール・マッカートニーとデュエットもしている。
このアルバムからマイケルはロックやポップスへとシフトしていき、その後『キング・オブ・ポップ』と呼ばれるようになっていった。
音楽面以外にも、このアルバムはミュージックビデオを有効活用した先駆けの作品でもある。特にタイトル曲『スリラー』のビデオは映像の世界でも歴史に残る名作となった。当時勢いを増していたMTVにおいても、アフリカ系米国人アーティストが登場することはほとんどなかったが、マイケル・ジャクソンの『スリラー』はMTVに成功をもたらし、お茶の間にブラック・ミュージックが当たり前のように流れるようになり、音楽ファン全体の意識を変えるきっかけになった。
ディスコの時代が完全に終焉し、危機感を感じたマイケル・ジャクソンが、多様な音楽やメディアにシフトする決意をしたことによって生まれた歴史的作品。
Producer: Quincy Jones, Michael Jackson
1982年