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ソウル&ファンク大辞典

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Kenny Burrell / MIDNIGHT BLUE

あえての「ブルージーなジャズでチルアウト」

ケニー バレル Midnight Blue,
Kenny Burrell, 1963
言わずと知れたブルーノートの大名盤。ジャズを知らなくてもこのジャケットぐらいは誰でも見覚えがあるであろう超有名盤だが、『ミッドナイト・ブルー』には、ひたすらブルース&ソウルを感じる(この時期はまだソウルはその芽がようやく土の中から顔を出したぐらいの萌芽期なので、サム・クック等が感じていた空気と同じものをケニー・バレルも感じていたということだろう)。ジャズもソウルも、ともにブルースがルーツにある。そもそもジャズとソウルはブルース直系の子孫である。最近のジャズ・ミュージシャンは個々それぞれのルーツをミックスしているため一概には言い切れないが、20世紀前半まではブルースの影響を受けていないジャズ・ミュージシャンなんて一人もいなかった。同じ家族のようなものなので、相性がいいのは当然。この作品でケニー・バレルは、ブルースの神を憑依させ1960年代の解釈でプレイしている。

一曲目の“Chitlins con Carne”は、ブルースギタリストのStevie Ray Vaughan(スティーヴィー・レイ・ヴォーン)が最高のカバーソングを残している。Pucho & the Latin Soul Brothers(プーチョ&ザ・ラテン・ソウル・ブラザーズ)の超ファンキーなラテン・カバーもある。ケニー・バレルのオリジナルは、じっくり聴いても踊っても楽しめる万能薬のようなジャズなのだ。

2曲目の“Mule”は一転して渋い。ケニー・バレルのブルージーなギターと、Stanley Turrentine(スタンリー・タレンタイン)のサックスのコントラストが面白い。スタンリー・タレンタインもブルースをルーツに持つミュージシャンなので、バレルの制作意図は容易に汲み取れるのだろう。

A面最後のタイトル曲やB1の“Wavy Gravy”も、ファンキーなグルーヴが心地いい。ここでは比較的ジャズ的なタッチが強く出ているが、キメのキャッチーなフレーズと、うねるようなリズムが21世紀の耳にも刺激的だ。

「ブルージーなジャズでチルアウト」というとダサダサだが、ブルースを感じるケニー・バレルの『ミッドナイト・ブルー』は、ソウルファンでも全編通して楽しめる大傑作だ。

Producer: Alfred Lion
1963年



Chitlins con Carne - Kenny Burrell
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