Diana Ross / DIANA ROSS
持って生まれたスター・パワーの凄さを実感
Diana Ross, 1970
シュプリームスのリードシンガーとしてモータウンの大スターだったダイアナ・ロス。脱退後にリリースしたこのソロアルバム第1作目では、収録曲の“Ain’t No Mountain High Enough”がチャート第1位に輝き、順調な再スタートを切ることができた。この曲はマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルのヴァージョンが有名だが、シュプリームス時代にテンプテーションズとの共演でダイアナ・ロスもカバーしていた曲。曲はアシュフォード&シンプソン夫婦によるもので、彼らはこのアルバムのプロデュースも手掛けている。他の曲もA4 “These Things Will Keep Loving You”以外は、この夫婦の作品であり、アシュフォード&シンプソン色が非常に強く出たアルバムである。特にヴァレリー・シンプソンのソロアルバム “Exposed” や “Valerie Simpson” と共通する部分が多いように感じる。これはもしかしたらダイアナ・ロスのヴォーカルスタイルにヴァレリーの方が影響を受けていたのかもしれない。それほど二人の作品はよく似ている。ヴァレリー・シンプソンには芸術家として音を生み出す素晴らしい才能があったが、生まれ持ったスターとしての華においては、ダイアナ・ロスの比ではなかった。
その大スターが、シュプリームス時代の華やかさや、70年代後期以降の派手なイメージとは違い、このアルバムではひたすらメロウに歌うことに集中している。ソウルシンガーとして開花するダイアナ・ロスを堪能できる一枚。
Producer: Nickolas Ashford & Valerie Simpson
1970年