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ジャズファンクだけではない。このアルバムには、あらゆる音楽の要素が詰まっている。リズミックなポエトリーの“Invocation to Mr. Parker”はまるで、ラップの元祖といわれるLast Poets(ラスト・ポエッツ)やWatts Prophets(ワッツ・プロフェッツ)のようだし、続く“Steam”では一転、ストリングスが入った60年代のようなロマンティックな曲となる。次の“Blues for Brother George Jackson”は、また雰囲気が変わり、ブラックスプロイテーションのサントラのような踊れるジャズソウルだ。この曲はブラックパンサー党のジョージ・ジャクソンに捧げられている。ジャクソンは刑務所を脱獄しようとした際に、銃殺され、それが引き金となってアッティカ刑務所の暴動が起きたといわれている。
このアルバムの最後を決めるのがCal Massey(カル・マッセイ)の手による“Quiet Dawn”。調子っぱずれとも思えるカルの娘ワヒーダの歌声が印象的だ。ジャズと少女ヴォーカルの危うい歌声というとBuddy Rich(バディ・リッチ)の娘が歌った“The Beat Goes On”を思い出すが、それ以上にこの歌はヤバい。
この「アッティカ・ブルース」というアルバムは、フリージャズというよりも、確信犯的にあらゆるブラックミュージックの要素をちりばめた、計算され尽くされたアルバムだ。
Producer: Ed Michel
1972年