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1971年の“Rappin’ Black In a White World”でも彼らの本質がよく表れている。ポエトリー・リーディングのようにも聞こえるが、そのリズムは明らかにラップであり、ヒップホップと同質のものだ。演奏はピアノやベースが時おり入るぐらいなので、現代のヒップホップを期待しても肩すかしを食らうだけだが、この時代のグルーヴを味わうにはこれ以上のものはない。むしろ今のラッパーのだれよりもメッセージ性は強く、時代的な背景を考えてもかなりラディカルであり、知的でもある。ゲスト参加しているDee-Dee McNeil(ディーディー・マクニール)は、黄金期のMotown(モータウン)を支えたひとり。まるでオリジナルメンバーのようになじんでおり、彼女の声がいいアクセントになっている。
最初聞いた時は、正直「やってしまった!」と思ったが、何度か聞いていると、演劇的でもあり、ヴィジュアルが浮かぶようになり、意外と心地よくなった。
ラストの“Black In a White World”は、子守唄のように響くが、歌詞は黒人であることの不条理が綴られており、あまりにも悲しい。
ヒップホップを愛する人たちのバイブルともいえる作品。
Producer: Mike Thome
1971年