Tony Williams Lifetime / THE OLD BUM’S RUSH
マイルス門下生のストリート・ミュージック
The Old Bum's Rush,
Tony Williams Lifetime,
1972
ユニットの顔であるトニー・ウィリアムスがマイルス・デイビスの名作“In a Silent Way”完成後に彼の元を離れ結成した音楽ユニット、トニー・ウィリアムス・ライフタイム。いつもは知的かつ技術的で、70年代はジャズとプログレの中間線を漂ったトニー・ウィリアムス・ライフタイムだが、この作品では人間の感情の起伏をソウルフルかつロックに表現。その主役はヴォーカリストとして抜擢されたLaura “Tequila” Logan(ローラ・テキーラ・ローガン)。Larry Young’s Fuel(ラリー・ヤングズ・フューエル)でも名作を残し、感情を歌にのせることにかけては天下一品のローラ・テキーラ・ローガンだが、ここでのトニー・ウィリアムスのドラミングに反応したパフォーマンスも天才的。ちなみにラリー・ヤングもかつてトニー・ウィリアムス・ライフタイムの一員としてプレイしていた。
オススメはトニー・ウィリアムスとローガンの共作A1 “You Make It Easy”、A2 “What It’s About (Love and Me)”、A3 “Whatcha Gonna Do Today”の3連ちゃん。ローガンの歌は、ジャニス・ジョプリンやベティ・デイヴィスと共通する懐の大きさを感じる。ハードロックかスライ&ザ・ファミリー・ストーンかといった雰囲気の“The Boodang”もめちゃめちゃワイルドでいい。この曲は意外にもトニー・ウィリアムスとベン・シドランの共作。
いつものトニー・ウィリアムス・ライフタイムではないが、トニー・ウィリアムスの素顔が出ているような気がする。
ベン・シドランがプロデュース。
Producer: Ben Sidran
1972年