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T.S.U.トロネードスといえば、Archie Bell & the Drells(アーチー・ベル&ザ・ドレルズ)の名曲“Tighten Up”の独特のグルーヴが有名。“Tighten Up”は元々ヒューストンのレーベルOvide(オヴァイド)からリリースされており、T.S.U.トロネードスは、このレーベルのハウスバンドだった。この曲は最終的に、大手アトランティック・レコードから配給され、1968年のビルボード・チャートで1位を記録している。日本ではイエロー・マジック・オーケストラのカバーの方が有名かもしれない(YMOはこの曲でSOUL TRAINにも出演している)。
T.S.U.トロネードスは単なるバックバンドではなかった。彼ら名義でもかなりいい曲を残している。アーチー・ベル&ザ・ドレルズのアルバム“Tighten Up”に収録されている“A Thousand Wonders”もT.S.U.トロネードスの曲で、彼ら自身のヴァージョンのシングルもリリースされている。
“Getting the Corners(1968年)”では、“Tighten Up”のフレーズの一部が使われている。ダンサブルないい曲だが、彼らがいかにレコード会社から、“Tighten Up”のイメージを強制されていたかが想像できる。
ヴォーカルものの“Got to Get Through to You(1969年)”も、タイトな演奏とゆるゆるの歌のアンバランスさに心惹かれる。このシングルの“The Goose”も、曲の雰囲気がやはり“Tighten Up”にそっくりだ。
Stax Records(スタックス)のVolt(ヴォルト)からリリースされた“My Thing Is A Moving”や“Play the Music Toronadoes”もオススメ。
どれも素晴らしい演奏なのに、大ヒット曲の呪縛に囚われ、彼ら自身がスターになることはなかった。どの曲を聞いてもどこかに“Tighten Up”を感じるところに、スターを支える裏方の悲哀を感じる。