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テリー・キャリアーの作品が当時あまり売れなかったのは、オリジナリティがありすぎて、商品としてカテゴライズしにくかったからだろう。フォーク、ジャズ、ソウルが絶妙のブレンドで混じり合う彼のサウンドは、ソウルにしてはおとなしすぎ、ジャズにしてはクラシックすぎ、フォークにしては黒人的要素があり過ぎ、結果、コアな音楽ファン以外には響かなかった。しかし、あらゆるジャンルを聞き込んだ現代の音楽ファンにとって、こんな上質な音楽を聞き逃すのはもったいない。
1曲目の“Dancing Girl”から、テリー・キャリアーの魅力が全開だ。フォーク調の導入部が延々と続いた後、トランペットが入るとジャジーな様相を呈し、徐々にニューソウル的展開へ移る。こんな自由な曲は、他のアーティストでは滅多に聞くことはできない。プロデューサーの奇才Charles Stepney(チャールズ・ステップニー)の力もあるだろう。ステップニーの懐の深さが、テリー・キャリアーの才能を引き出しているのではないか。
彼に影響を受けたアーティストは多く、2000年代にはマッシヴ・アタックやポール・ウェラーとも共演している。
この比類なき才能は、体験しないと絶対に損!
Producer: Charles Stepney
1972年