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一番顕著に表れているのがA5 “Start!”。これはビートルズの『タックスマン』の引用(人によっては盗用)だといわれている。ベースとギターのサウンドは、ほぼそのままだ。ただし引用によって高品質な作品を作るジャムに、盗用をいうのは野暮でもある。また『タックスマン』はビートルズの曲の中でも最もファンク色が出た曲だが、ポール・マッカートニーのベースラインもモータウンの引用(人によっては盗用)であることは間違いないだろう。
他の曲でもアルバムのあちこちで使われているリズムは、完全にモータウンを想起させるものだ。ホーンセクションの使い方も、当時のロックとして異例なほどに、ルーツを感じさせる。これもモッズ・ヒーローであるポール・ウェラーとしては当然と言えば当然のこと。
詩的には屈折していたポール・ウェラーだが、サウンドは最小限の音で再現できるシンプルな曲を作っている点も面白い。ザ・ジャムをスリーピースのファンクバンドとして考えた場合、本家アメリカを含めても、これほどのグループはなかなか見当たらない。
『サウンド・アフェクツ』を経て、ポール・ウェラーはよりルーツ色を強め、数年後には編成にとらわれない自由なスタイル・カウンシルへと進んでいった。
この作品でただひとつ疑問なのは、ポール・ウェラーが語った「マイケル・ジャクソンのオフ・ザ・ウォール」の部分。一体この作品のどこがそれにあたるのだろうか?
Producer: Vic Coppersmith-Heaven, The Jam
1980年