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この『セックス&ソウル』では、スカ色もなく、この上もないほど心地よいソウルのグルーヴを聞かせてくれるが、それでもどことなくジャマイカの香りがするのはどうしてだろう。サム・クック等のR&Bに強い影響を受けていた初期のボブ・マーリーに通じるようなテイストを感じるのだ。1973年の作品とは思えないほどノスタルジックで気取りのない演奏は、同時代のアーティストでは聞くことができない。
とは言ってもいわゆるゲテモノではなく、むしろ清々しいほどの王道ソウルなのだ。一曲目のキャッチーな“Don’t Blame the Man”からラストの“Back Into My Arms”まで、非の打ち所がないほど、味のあるソウルを聞かせてくれる。いわゆる60年代に主流を占めた熱唱型のヴォーカリストではなく、バックのサウンドと一体となったリラックス感はプロデュース感覚溢れる彼にしか出せない持ち味だ。あまり評価されていない気がするが、70年代を代表する王道ソウルの名盤といっても過言ではない。
ロイ・Cほど、味のあるニュアンスを生み出せるアーティストは珍しい。
ブレイクビーツの定番“Impeach the President”は、彼のバンドHoney Drippers(ハニー・ドリッパーズ)の曲。
Producer: Roy C. Hammond
1973年