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当時のブラックミュージックのトレンドであるエレクトロ・ファンクを完全におさえながら、“1999”ではポップスやロックの要素も強く押し出しすようになった。表現方法は全く違うが、ほぼ同時期にリリースされたマイケル・ジャクソンの『スリラー』とも方向性は似ている。ただしマイケルの場合はポップスターへの志向が非常に強かったが、プリンスの場合はブラック・ミュージシャンであるという基本線は常に守っていた。その観点からするとプリンスは、リトル・リチャードやスライ&ザ・ファミリー・ストーンの流れをくむアーティストであるといえるだろう。
曲は初期プリンスの代表曲ばかり。特にタイトル曲のA1 “1999”とA2 “Little Red Corvette”は、スーパースターの座を獲得するきっかけとなった作品。個人的に好きな曲はD1 “Lady Cab Driver”。このアルバムの中で最も卑猥な曲だが、こういうシンプルでタイトな曲こそ、プリンスのエキスを一番感じやすい。ほぼ一人でこのグルーヴを出すなんて、天才としかいいようがない。
プリンスは生涯を通してアーティストとして実験的な試みを繰り返しながらも、常に第一線で活躍し続けた。これほど長期間にわたって挑戦を忘れずに高品質な作品を作り続けたブラックミュージシャンは彼以外に誰も思い浮かばない。
Producer: Prince
1982年