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本アルバムではミッドナイト・スターの代名詞ともいえるヴォコーダーを活用したエレクトリック・ファンクが炸裂している。数年前までは、ファンク独特のグルーヴをシンプルなパルスに差し替えたディスコが全世界を制覇していた。80年代になるとシンセの時代となり、ダンスフロアはデジタル一色に染められる。人が生み出すグルーヴこそがその生命線だったブラック・ミュージックは、大ダメージを受けたが、しばらくするとそれを逆手にとってグルーヴを生み出すミュージシャンも現れるようになった。最も大きな変化は演奏することをやめたヒップホップの誕生だ。一方でバンドとしてのタフさを示したのが、トークボックスを使って強引にテクノ感とファンクの本質を表現したZapp(ザップ)や、ディスコの時代から常に王道を歩み続けたアース・ウィンド&ファイアのようなバンドだ(「レッツ・グルーヴ」の変わり身の早さは見事だった)。
ミッドナイト・スターもこの流れに乗り、デジタルの世界でもブラック・ミュージックが通用することを証明した(というより80年代以降は、ブラック・ミュージックが人種の壁を越えて音楽ビジネスの本流となってゆく)。
最もヒットしたのはB2 “Freak-A-Zoid”。ビルボードR&Bチャートで2位を記録している。A1 “Electricity”、A4 “Wet My Whistle”、A5 “No Parking (on the Dance Floor)”も負けず劣らず彼らの長所がよく出たファンキーないい曲。
本作はデジタルの時代だからこそ生まれたファンク・ミュージックの名作。
Producer: Reggie Calloway
1983年