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デビュー時はまだいたいけなイメージもあったマドンナだったが、当時からゴリ押し度は相当だったようで、レコーディングの最中に自分の主張が通らなかったことにブチ切れ、アルバムがほぼ完成した時点で、大物プロデューサーのレジー・ルーカスと決裂してしまう。ルーカスは彼女の要求を無視したままスタジオを去ってしまったため、困ったマドンナは当時付き合っていたジョン・“ジェリービーン”・ベニテスに泣きつき、リミックスとプロデュースを急遽依頼。結果としてこれが功を奏し大ヒットにつながった。ということは、このアルバムを成功に導いた実質的なプロデューサーは、ビッグ・ネームの二人ではなく、まだ新人アーティーストだったマドンナだったといえるのではないか。
このアルバムにはダンスクラッシクスの名作がたくさん収録されているが、昔のようにアルバム全体として考えた場合の統一感は正直今ひとつでもある。だが、これが12インチシングルが音楽の主流を占めるようになった80年代的感覚とマッチして、現代から振り返れば、逆に味として成立している。それにしても、このマドンナのデビューアルバムやボーイズ・タウン・ギャングの“Can’t Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)”のように、言ってしまえば単なるポップソングなのに、なんともいえない切ない感情が心の中に湧き上がるのはなぜなのだろう。
日本では『バーニング・アップ』というアルバム・タイトルで発売されている。
Producer: Reggie Lucas, John “Jellybean” Benitez, Mark Kamins
1983年