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ジョビンの作品としては最もジャズ寄りだが、サウンドの心地良さは、初期の作品や本作と同じCreed Taylor(クリード・テイラー)プロデュースの“Wave(1967年)”にも負けていない。
テイラーが独立する時に、まず契約を結んだというのが、このアントニオ・カルロス・ジョビンなので、CTIでやりたいことのエキスのようなものが、この作品には詰まっているように思う。名作『イパネマの娘』を収録した“Getz / Gilberto(1964年)”の頃から、テイラーとジョビンは仕事をしており、この時からボサノバ(もしくはラテン)とジャズの相性の良さは実感していたはず。こうした経験があったからこそ、ブラジル人アーティストをたくさん起用し、70年代に一時代を築いたCTIの構想が生まれたのだろう。
バックで支えるメンバーも申し分ない。Airto Moreira(アイアート・モレイラ:パーカッション)やEumir Deodato(エウミール・デオダート:ギター)のブラジル勢はもちろんのこと、CTIにも名作を残しているJoe Farrell(ジョー・ファレル:サックス)、Hubert Laws(ヒューバート・ロウズ:フルート)の他、ベースではRon Carter(ロン・カーター)も参加している。
とはいっても『ストーン・フラワー』は、CTIの中心をなす音ではないし、ジョビンのキャリアとしても異色の作品であるが、レコード芸術として素晴らしい。できるだけいい音で聴きたい。
Producer: Creed Taylor
1970年