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アラン・トゥーサンの下ではチャンスを得ることができなかったメアリー・ジェーン・フーパーにデビューの機会を与えたのは、ニューオーリンズの裏の実力者、Eddie Bo(エディ・ボー)だった。フーパーはそれまで本名のSena Fletcher(セナ・フレッチャー)を名乗っていたが、エディ・ボーによって改名され、ソロデビューすることが決まる。
メアリー・ジェーン・フーパーの歌を聞いていると、正直、若干の脱力感を憶えるが、そんな力の抜け具合がいい方向に出ているニューオーリンズ・ファンクの名作がある。同じく脱力系のエディ・ボー作・プロデュースの“I’ve Got Reasons(1968年)”だ。いわゆるセカンドライン・ファンクのようなキレのよさはなく、ゆるーい感じでグルーヴするこの曲には、何度も聞きたくなるような中毒性がある。もっとキレのいい曲なら“Don’t Change Nothin’”がいい。彼女の歌声自体は特筆すべき点はないが、バックトラックが素晴らしい。また、バックトラックならジャズからファンクまで何でも叩いた地元のドラマーJames Black(ジェームズ・ブラック)の“I’ve Got What You Need”でのプレイも凄い。
ニューオーリンズには、歴史に名を残すほどではないが、心に残り、他に代え難い魅力を持つアーティストがたくさんいる。メアリー・ジェーン・フーパーもそんなミュージシャンのひとりだ。