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ソウル&ファンク大辞典

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Rabih Abou-Khalil / SULTAN’S PICNIC

音楽ではこんなに中東と欧米は仲良くできたのに…

ラビ・アブ・カリル Sultan's Picnic,
Rabih Abou-Khalil, 1994
ベイルート生まれのラビ・アブ・カリル。レバノン内戦の影響で二十代前半の頃に国を逃れ、ドイツとフランスに移住した。彼はアラブ音楽の弦楽器ウードの奏者だが、この『サルタンズ・ピクニック』では、ルーツを活かしたエスニックジャズに挑戦している。

構成としては1992年の名作“Blue Camel”とほぼ同じ。この作品ではラビ・アブ・カリルとともにリードを取るのはアルト・サックスのCharlie Mariano(チャーリー・マリアーノ。彼はここではエスニックな楽器を演奏していない)とフリューゲルホーンのKenny Wheeler(ケニー・ホイーラー)だったが、本作ではハーモニカのHoward Levy(ハワード・レヴィ)が重要な役割を果たしている。ベースには前作と同じくCarla Bley(カーラ・ブレイ)との共演が有名なSteve Swallow(スティーヴ・スワロー)が参加している。

『ブルー・キャメル』ではアラブ色がかなり強かったが、『サルタンズ・ピクニック』では、様々な要素が加わりより無国籍風になった。アコースティックな楽器しか使っていないので、時代性をほとんど感じないが、人種のるつぼとなった未来のアラブ世界のサウンドトラックのようにも聞こえる。芸術は我々に未来を示す呪術の一種である。さまざまな人種が音楽ではこんな見事なハーモニーを築けるのなら、いつの日か現実社会でも同じ状況が実現するのではないかと希望を持ちたい。

Producer: Rabih Abou-Khalil
1994年



Sunrise in Montreal - Rabih Abou-Khalil
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