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ソウル&ファンク大辞典

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Montgomery Express / MONTGOMERY MOVEMENT

盲目の二人によるストリート・ゴスペル

モンゴメリー・エクスプレス Montgomery Movement,
Montgomery Express,
1972
まるでクルアンビンとJBズが合体したかのようなぬるま湯ファンクで幕を開けるモンゴメリー・エクスプレス唯一のオリジナル・アルバム“Montgomery Movement”。このタイトル曲も最高だが、彼らの本領はゴスペルにある。

中心メンバーは、Charles Atkins(チャールズ・アトキンス)とPaul Montgomery(ポール・モンゴメリー)という二人の若者。生まれた街も違い、全く見ず知らずの二人だったが、共通点もあった。ともに音楽に熱中していたのはもちろんのこと、二人は視力を失っていたのだ。アトキンスはフロリダ州、モンゴメリーはミシシッピ州の盲学校出身。ミシシッピを襲ったハリケーンの影響により、モンゴメリーは叔父のサンディがいるフロリダに移住することになる。

出会いは強引だった。叔父のサンディは、フロリダのシーンで頭角を現し始めた甥とマネージャー契約し、そのパートナーとしてアトキンスを他のバンドから引き抜いたのだ。こうして盲目の二人のミュージシャンは、モンゴメリー・エクスプレスとしてデビューすることになる。

エディ・フロイドのカバー“Gotta Make a Comeback”以外は、すべて盲目の二人が書いた。デモテープを作り、Dove Recordsからリリースされることも決まった。しかし、なぜかデビュー用に録り直すこともなく、そのまま少量だけプレスされ発売されることになる(これが原因で、十数年後に彼らのオリジナル版は超高値を呼ぶことになるのだが…)。プロモーションのないゴスペル中心のアルバムが売れるはずもなく、バンドは自然消滅してしまった。

モンゴメリー・エクスプレスの特徴は、エディ・フロイドのカバー曲を聴き比べるとよくわかる。原曲は60年代サザンソウルの王道をゆく、感情の波がよく現れた曲だが、カバー・バージョンは非常にストイック。モンゴメリー・エクスプレスのゴスペルは、教会を熱く揺らすようなタイプではない。冒頭のタイトル曲のようなファンクでもこの傾向は変わらない。

純粋な意味でのゴスペルではないが、音楽の神と自然体で対峙したストリート感覚のゴスペル・アルバム。

Producer: Allen White, Sandy Montgomery, The Montgomery Express
1972年



Montgomery Movement - Montgomery Express
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