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Khruangbin / CON TODO EL MUNDO

最新型エンジンを積んだ年代物飛行機で仮想音楽旅行

クルアンビン Con Todo El Mundo,
Khruangbin, 2018
サイケやエスニックの香りをペケペケと奏でるMark Speer(マーク・スピアー)のギター、ツボだけを抑えたアジア風味のダブ的ベースを弾くLaura Lee(ローラ・リー)、ひたすらシンプルにブレイク・ビーツを刻むDonald Ray “DJ” Johnson Jr.(ドナルド・レイ・DJ・ジョンソン・ジュニア)のドラム。一見バラバラの個性が見事に溶け合い、世界のどこにもなく、そしてどこかで聞いたことがあるようなノスタルジックな感覚にとらわれるのがクルアンビンの世界観。

ローラ・リーがタイ語から取ったという「クルアンビン」というバンド名。「空飛ぶエンジン」や「飛行機」という意味があるらしい。スペルだけでは日本人にも英語スピーカーにも読めなさそうだが、これほど世界的に成功するとは思っていなかったため安易に決めたそうだ。

スピアーとDJは元々、同じ教会のゴスペルバンドで演奏していた仲(当時のDJはオルガンを担当)。その後、スピアーとリーが出会い、アフガニスタンの音楽で盛り上がり、バンド結成へとつながっていく(当時のリーは、まだベースが弾けなかったらしい)。

3人はテキサス州ヒューストン出身だが、クルアンビンの音楽は、NASAの最新型ロケットではなく、年代物の旧式飛行機で世界中を旅する。ギターとベースは、中東・東南アジア・ラテンアメリカと様々な場所を駆け巡るが、DJのドラムだけはどこにも旅をせず、都会のリズムを刻み続ける。クルアンビンがこれほど受け入れられた最大の理由は、DJが常に現代の音を刻んでいるからだろう。

ほとんど趣味的発想で始まったクルアンビン。商業的野心がなかったからこそ、これほどユニークなサウンドが完成した。

Producer: Laura Lee, Mark Speer, Steve Christensen
2018年



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