ソウル・クラシックスの大辞典を構築中! スマホ対応なので出先でもどうぞ。
本作はマーカス・ベルグレイヴにとってのソロデビュー作。1974年にはすでにモータウンは西海岸に移っていたので、この作品で彼が本格的にジャズ・ミュージシャンとしての道を歩み出す名刺代わりになった。リリースはPhil Ranelin(フィル・ラネリン)とWendell Harrison(ウェンデル・ハリソン)が設立した伝説のレーベルTribe Records。もちろん二人ともプレイヤーとしても参加。
何と言っても秀逸なのは1曲目の“Space Odyssey”。タイトルから推測するにキューブリックに影響を受けたのだろうが、なぜか天才ドラマー、Roy Brooks(ロイ・ブルックス)が横山ホットブラザーズの「おーまーえーはーあーほーかー」でお馴染みのミュージカル・ソウをプレイしている(ミュージカル・ソウに関しては横山ホットブラザーズの方が上手いのではないかという気がする…)。もちろんこの曲はコミックソングではなく、トライブを代表するスピリチュアル・ジャズの大名作。ソウルジャズ寄りのA3 “Glue Fingers (Part II)”やB1 “Gemini II”もダンサブルで良い。
これほどの名作を残したものの、デトロイトから出ることがほとんどなかったため、ソロ・アーティストとしてはそれほど成功せず、サイドマンとして活動や後進の育成に力を注いだ。
Producer: Marcus Belgrave
1974年