ヒップホップを経験した時代からみた、永遠に完成しないソウル&ファンクの大辞典。
“Look for the Black Star(邦題:黒い星を探せ)”はデューイ・レッドマンにとって満を持して発表されたデビューアルバム。オリジナルはオランダのレーベルから発売されている。アルバム・ジャケットが示すように彼にとっての「黒い星」とは外部ではなく、内面に存在するものであり、時代にとらわれずに自らの表現を追求しようとしたのだろう。この作品をリリースした時期には、すでにオーネット・コールマンはビッグネームになっており、どれだけ彼の影響を受けたのはわからないが、独自の道を歩み、本能を直撃し、多幸感を引き起こすようなサウンドは、偉大なる旧友とも共通している。
それが最も顕著に出ているのがA1のタイトル曲。全体のフォーマットはジャズ以外の何物でもないが、レッドマンのテナーサックスやヴォーカルは楽しげに解放され、ラテンかアフロのエスニックなカーニバルの音楽のようでもある。これは間違いなく後に英国から出てくるPigbag(ピッグバッグ)やRip Rig + Panic(リップ・リグ・アンド・パニック)あたりの音に大きな影響を与えているのは間違いないだろう。
デューイ・レッドマンは、オーネット・コールマンやキース・ジャレット、パット・メセニー等、誰かのサイドマンとして語られることが多いが、彼本人の作品ももっと評価されてもいいはずだ。
Joshua Redman(ジョシュア・レッドマン)は彼の息子。これも悲しいかな、こんなに素晴らしい作品を残しているのに、デューイはジョシュア・レッドマンの父親として語られることの方が多い。
Producer: Alan Bates
1966年