Dedalus / DEDALUS
イタリアの音響系アバンギャルド・ジャズロック
Dedalus, 1973
激しい変拍子を細かく刻むドラムとベース、かと思うと同じ曲の中でもビートレスになって急にノイズ系かサイケバンドのように変化する不思議なジャズロックを奏でるデダルス。イタリアのバンドらしく知的なプログレのような部分もあるが、演奏のフォーマットは完全にジャズ。しかしビートが変幻自在なので、現代音楽のようでもある。ピアノの音にはクラシックの影響も感じるが、キーボードのFiorenzo Bonansoneが楽器をチェロに持ち替えた時、デダルスの音楽は急激に狂いだす。彼のエレクトリック・チェロはメロディを奏でることより、正確なビートを狂わす神経ガスのように機能する。
ジャズ視点で見ると「エレクトリック・マイルス」以降の音楽ということになるが、デダルスにはマイルス・デイビスの直接的な影響よりも、マイルスが受けたようにジミヘンやビートルズの影響を受けたイタリア人が、以前から聞いていたプログレやジャズと融合させ、商業性を全く考えずに生み出した奇跡の一枚ではないかと思う。現代の音楽環境ではなかなか生まれにくい音楽。
Producer: Maurizio Salvadori
1973年