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一曲目の“Hog Callin’ Blues”では、激しく馬に鞭打つようなチャールズ・ミンガスの声と、吠えるようなRoland Kirk(ローランド・カーク)のテナーサックスが印象的なワイルドな曲。二曲目の“Devil Woman”はスローなブルースで、ミンガスの味のあるしゃがれ声に痺れる。彼のピアノを楽しむならB1の“Ecclusiastics”。この曲は展開の仕方も楽しい。
この作品でミンガスはヴォーカルとピアノを担当しているが、この二つは別人格のようにギャップが激しい。ピアノはあくまで控えめで美しく奏でられているが、ヴォーカルは歌というより、叫びに近いもので、アルバム全編にわたって「オー・イェー!」と叫びまくっているだけともいえる。しかし、その叫びが非常に魅力的であり、音楽的門戸をかなり広くしている。
ローランド・カークとBooker Ervin(ブッカー・アーヴィン)のダブルサックスは非常に強烈。ミンガスの声との相性も非常にいい。サウンドはブラックミュージックの歴史を振り返るかのように、ブルースとジャズの境界線を行ったり来たりしながらも、強弱のつけ方にミンガスの斬新なセンスを感じる。
この作品では、チャールズ・ミンガスの製作意図を探るのではなく、Cab Calloway(キャブ・キャロウェイ)やScreamin' Jay Hawkins(スクリーミン・ジェイ・ホーキンス)の作品を聞くように、音楽を満喫したほうがいい。ミンガスの作品の中では異色な部類に入るが、最もストリート感覚が強く、ソウルやファンクが好きな人には最も入りやすい一枚だろう。
しかし、これで1962年ってどういうこと?(録音は1961年)
Producer: Nesuhi Ertegun
1962年