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50年以上にわたり音楽業界で活動してきたベティ・ライトが、2011年、生音にこだわるヒップホップ・バンドThe Roots(ザ・ルーツ)と共演したのが、この“Betty Wright: The Movie”。ベテラン歌手と現役バリバリのアーティストの共演盤はよくあるが、ほとんどの場合、ベテラン歌手はお飾りで、サウンドがすべて準備された後に、歌を入れるだけというケースが多い。しかし、この作品ではベティ・ライトが積極的にサウンド作りにも関与している。というのも彼女は近年Joss Stone(ジョス・ストーン)等のプロデュース業でも実績をあげており、現役から遠ざかっていたわけではないからだ。本作にも全曲でソングライティングとプロデュースの両方で彼女の名前はクレジットされている。
一曲目のイントロはマイアミ・ソウルへの敬意を表したようなリズム・ボックスの音から始まる。その歌詞では、若いミュージシャンを諭すように古い音楽の良さを伝える。曲名はズバリ「オールド・ソングス」。サウンドも決して媚びておらず、自然体で演奏されているのがいい。また、ベティ・ライトのソウルフルな歌声と現代的な音との相性もいい。
“Baby Come Back”では、ベティとともに元タワー・オブ・パワーのLenny Williams(レニー・ウィリアムス)がリードヴォーカルでフィーチャーされている。
Betty Wright & the Roots(ベティ・ライト&ザ・ルーツ)のこのアルバムは、ほとんど話題にはならないが、彼女の作品の中でもトップスリーに入る名作ではないだろうか。
Producer: Betty Wright, Ahmir “Questlove” Thompson, Angelo Morris
2011年