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カルチャー/音楽/政治

戦う日本のミュージシャン

インディーズ時代には過激さを売りにしていても、一旦成功すると、一国民であることを忘れたかのように、全く政治的発言をしなくなる日本のミュージシャン。最近では「音楽に政治を持ち込むな!」なんて、話にならないような意見も聞こえる中で、メジャーな存在でありながら、リスクを恐れず発信した日本人ミュージシャンをここに記録しておく。


キョウボウザイ/SKY-HI
AAAとして紅白歌合戦にも出場する日本のポップスターでありながら、ソロとしては常に問題意識を持ってアーティスト活動をするSKY-HI。国家権力の暴走が危惧される「共謀罪」に対する意見表明。



#9 story/山崎まさよし
歌詞が英語なので、イマイチ日本人には伝わりにくいが、憲法改正に疑問を持った山崎まさよしが、母が子供にベッドで読み聞かすおとぎ話をモチーフに歌にしている。タイトルの『#9 story』とは憲法9条の比喩。何故かYouTube上にこの曲はアップされていないので、その代わりに歌詞の抄訳を掲載しておく。

お母さん、またあのおとぎ話を聞かせてよ。
あのお話を聞くと、ぐっすり眠れるんだ。
夢の中の人は、みんな幸せそうで、こんな日がずっと続けばいいなって思えるんだ。

だけどある晩、お母さんはお気に入りのお話を少し変えてしまった。
あれから僕は不安になって、よく眠れなくなった。
夢の中の僕は銃を持っていたんだ。

お母さん、だからお気に入りのお話を変えないで!
あのお話を読んでくれるだけで、僕はぐっすり眠れるんだ。
あの時の夢のように、みんなが笑顔で、ただ静かな日々が続くだけでいいんだよ。



ずっとウソだった/斉藤和義
福島第一原子力発電所事故直後に発表された「ずっと好きだった」の替え歌。怒るイメージは全くなかったが、アーティストの本能が顕著に現れたメッセージソング。この歌のオリジナルは斉藤和義本人の投稿後、すぐに削除されたものの、動画を見ていた人たちが次々と再投稿を続け、現在でも拡散し続けている。



サマータイム・ブルース/忌野清志郎
原発事故の何年も前に、たった一人で大企業相手に喧嘩を売った忌野清志郎。まだ世間一般も原発を黙認している時代に、問題の本質にジョークを加えて表現。これぞプロテスト・ソングのあるべき姿。



すてごま/ブルーハーツ
いくらキレイごとを言っても、国民に求められるのは「捨て駒」になること。自衛隊の海外派遣が問題になっている時代の曲。



God Save The Queen - BBC Newsnight
ついでに英国の公共放送局BBCの参考事例を。英国のEU懐疑主義者の国会議員から、1日の終わりに国歌として認知されている“God Save The Queen”を流すことを要求されたBBC。局全体としての対応ではないが、BBC Oneのニュース番組“BBC Newsnight”がプログラム終了時に議員の要求する通りの曲をかけたのが冒頭のビデオ。もちろんこれは国歌ではなく、セックス・ピストルズの同名曲だが、誰にも要求されていないのに毎晩『君が代』を流すNHKにこれぐらいの気概がまだ残っているだろうか?


海外ではロック・ミュージシャンでなくても、公共放送局の番組でさえ政治的姿勢を示している。当然、簡単に膨大な数のプロテスト・ソングもあげることができるが(日本でも数十年前はいくらでもプロテスト・ソングはあった)、最近の日本人アーティストとなると極端に少なくなる。どんな問題でも当たり前のように自由に発信できる日が来るまで、このリストをアップデートしていく。



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