グッチやフェンディ、バーバリー等、アフリカ系の人々に対するネガティブな情報が目立つファッション業界。COACHには、あまりブラック・カルチャーとの関連を感じないが、意外な二人にショート・フィルムの制作を依頼し、ブランドのスタンスを表明した。
監督を担当するのは、『ブラック・クランズマン』でアカデミー賞の脚色賞を受賞したばかりのスパイク・リー。主演は『ブラック・パンサー』で重要な役を演じたマイケル・B・ジョーダン。
映像には、グラミーのスピーチでトランプ大統領を怒らせた監督らしい社会的なメッセージが込められている。
まず登場するのは砂漠でバイクに乗ってやってくるマイケル・B・ジョーダン。画面には“Words Matter(言葉は重要である)”の文字。人種差別に抗議する“Black Lives Matter”も想起させる。
おもむろにバイクを止め、荒れた大地に目をやると、“evil(邪悪)”という言葉が刻まれた石が。その横には“hatred(憎悪)”と書かれた石も。少し歩くと、さらに“bigotry(偏見)”や“lies(嘘)”と記されたものまで。ジョーダンは、ネガティブな言葉を葬るように石を遠くに投げ捨てる。
次のシーンでは、地図のようなものを手掛かりにしてやってきた場所で、子供の存在を感じさせるブランコを発見する。そこに彼は“courage(勇気)”、“truth(真実)”、“dream(夢)”と書かれた石を置く。そしてブランコの上には“love(愛)”と刻まれた石を据え、バイクで走り去る。
負の墓標を、希望への道標に置き換えようとするスパイク・リーのメッセージ。COACHのキャンペーン映像であると同時に、グラミー賞のスピーチで語った“Let’s do the right thing”を実行するかのような作品。